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2024/05/03 (Fri)
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2009/08/03 (Mon)
「恩田陸 『エンドゲーム・常野物語』」
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★★☆☆☆ → ★★★☆☆

恩田陸・著 『エンドゲーム・常野物語』 2009年 講談社



上記画像はamazon.co.jpより転載

恩田陸の名シリーズ(と思っている)『常野物語』の三作目。

一作目は完全に物語りが主軸であり、それこそ著者の得意とする分野だった。
二作目は物語性を維持しつつ少し、時代批判、現代にたいする不安感が盛り込まれていた。
そして三作目である本著は一作目の物語をベースにして、サスペンスとシニカルな風刺を構築したというイメージだ。

話は一作目(短編集)の中の一つの短編に焦点をあてた話。
そういう意味では本著はスピンオフ作品であり、勿論このシリーズ共通の変わった能力を持つ『常野一族』の中の一つの家族の話である。

久々に小説を読んだためか、用事を済ませた後の帰路の途中の銀座線で読み始めたらとまらなくなって読みきってしまった。
きっと『物語』に飢えていたのだろう。
ただ、昔と同じペースで本を読んでいる中でこの本を読んだとしたら、途中で一呼吸置いていたと思う。

サスペンス色が強めというか、常野物語の持ち味である郷愁感を上手く料理しきれなかったのが理由だと思う。
やはり一作目の面白さがずば抜けていたからだろうか。
ただ、著者の文体はとても読みやすく、さすが恩田陸といったところ。
丁寧に、やさしく、それでいてメッセージを巧みに著している。

まぁ、悪い本と言うわけではないが、著者の本の中では普通すぎるかなという意味で★二つ。

追記:全体的に抽象的だった。
その抽象さをあれだけ巧く著したのはすごい。
創作の良い勉強になった。
ということで★三つに。
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2008/06/03 (Tue)
「J.R.R.トールキン 『新版 指輪物語』(全九巻)」
Comments(0) | TrackBack() | 小説
★★★★★

J.R.R.トールキン・著 『新版 指輪物語』(全九巻)

上記画像はamazon.co.jpより転載

二週間前。町田のBOOKOFFにて、この本と出会った。
中学生の頃に一巻を読んで、あまりの退屈さに本を閉じてしまった記憶がある。
世界三大ファンタジーと呼ばれる物の一つ。
それが九巻セットで450円だった。
本当にこの大量生産、大量消費のご時世において、小説という媒体の市場価格は交換価値をはるかに下回っている。
ともかく、雨の日にたまたま寄ったBOOKOFFにて出会ったのだ。
いずれは手をつけようと思いつつなかなか手をつけられなかったので、店先でこの本を見つけたときは本当に嬉しかった。
少し間を置いてから一週間ほど、貪る様に読んだ。(合間に飲み会やレポートなどがあったが)

なんて完成された物語なんだろうか。
そして、何故私はあの時に本を閉じてしまったのだろうか。
その後、映画を観た私はそれだけで物語の世界を知った気になっていた。
しかし、『風の谷のナウシカ』がそうであるように、映画では語られない事が数多くあった。
この本を読んでいると旅をしたくなる。
また、今まで旅してきた様々な土地を思い起こさせる。
久々に「わくわく」させられた小説だった。

昔から言語学に興味のあった著者はエルフの言葉を作ったりしたという。
また、大きな大きな二つの大戦を挟んでこの物語を書き上げたそうだ。
あとがきで、実際の人間の世界だったらあのようなハッピーエンドを迎えないはずだと書かれていたのがすこし面白かった。確かに、人間ならあれだけの巨大な武器を滅ぼさずに使用するだろうなあ。核兵器のように。

amazonで検索をかけたらなにやら10巻目の追補編というものがあるらしい。
早速明日BOOKOFFに出かけようと思う。

ただ、主人公のフロドよりも従者のサムのほうが魅力的なキャラクターだったなあ。

追伸;もう朝だ。四時間寝て大学に行かないと。

2008/05/09 (Fri)
「森博嗣 『有限と微小のパン』」
Comments(0) | TrackBack() | 小説
★★★★★

森博嗣・著 『有限と微笑のパン』 1998年 講談社


上記画像はamazon.co.jpより転載

『すべてがFになる』からはじまるS&Mシリーズもついに最終巻。(スピンオフを含めないとだが)
シリーズ史上最高の出来だったと思う。
推理小説としては成り立ってないという見方もあるが、僕はミステリ作品としての完成度は完璧だと思う。
素晴らしい。この一言につきる。
森博嗣は天才なのではないだろうか。
いや、天才である。

最後のどんでん返しには唖然とした。
本編のトリックよりも、その後の話に驚いた。

読了後には、はじめて『オーデュボンの祈り』(伊坂幸太郎・著)を読んだ時以来の涙が出た。
緻密な複線。組み立てられたロジック。(本作ではロジックではなかったが)
生と死について。人々の存在理由。
素晴らしい本は自分を成長させてくれる。
S&Mシリーズもこれで最後。ただ、読んでない感が二冊ほどと、スピンオフが二冊残っている。
とりあえずはまだ楽しめる。
きっと、僕はこれから何度も、何十回もこの本を読み返すことになるだろう。
本当に森博嗣という作家に出会えてよかった。

この感動が消えないうちに床に就こうと思う。

2008/05/07 (Wed)
「森博嗣 『四季 夏』」
Comments(0) | TrackBack() | 小説
★★★☆☆

森博嗣・著 『四季 夏』 2003年 講談社


上記画像はamazon.co.jpより転載

『すべてがFになる』の『春』に続くスピンオフ第二弾。
読了後の例の感情は感じなかった。
しかし、だんだんと天才真加賀博士も大人になり、『すべてがFになる』の設定に近づいてきている様子を読むのは楽しい。
『すべてがFになる』の重要なファクターも次第に明らかになっていくし・・・・・・。
こうして、スピンオフ小説を読んでいると、改めて本作品の偉大さに気づく。
また、本格推理作家は生々しい場面も平気で書くからすごい。(いや、どの作家でも書く人は書くかもしれない)
昔は推理小説嫌いだったのに、いつの間にか好きになっているものだなあ。

今回のテーマは生と死の概念が大部分を占めていた気がする。
自分にとって、死とはなんだろうか。
僕は生にあまり執着がない方だと思う。
去年、バイク事故でトラックの下敷きになったとき焦りはあまりなかったし、絶望も恐怖もなかった。
いつも、死ぬべき時は死ぬはずであると感じている。(一応、僕は無神論者であることを付け加えておく)
自殺する自由もまた然り。
また、死後の世界や心霊現象も信じない。
かといって、無であるとも信じていない。
そもそも、自分で体験したことのない事を信じることはできない。

ただ、どちらかというと無であると信じたいなあ。

2008/05/06 (Tue)
「森博嗣 『四季 春』」
Comments(0) | TrackBack() | 小説
★★★★☆

森博嗣・著 『四季 春』 2003年 講談社


上記画像はamazon.co.jpより転載

名作『すべてがFになる』の天才博士の過去を追ったスピンオフ作品。
読む前はメフィスト賞をとったから無理に話を作ったんだろうと考えていた。
が、それは大きな、そして嬉しい誤算だった。
少しSFテイストな天才少女の話である。
それにしても、森氏の描く天才の描写は上手い。
読んでいて、神様の様な憧れを通り越した、畏怖の情を感じる。
『すべてがFになる』のファンだっただけに、とても楽しく読めた。
また、良い小説を読んだ後だけに到来する寒気と感涙が襲ってきた。
最近この感情(?)を感じるような小説を読んでいなかっただけに、幸福感も一入だった。
ただ、途中に人物の書き分けが混乱するところがあり、少し残念だった。(いや、それも計算のうちだろうか)


追伸:なぜか読書中に僕が思っていたことは、最近好きな食べ物というものが全くないということだった。(何を食べても同じ感情)




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